CONCEPT




Hair salon / Fukuoka
ROBE HAIR
ROBE HAIR
Concept:
「ROBE HAIR|やわらかく、つながり続ける空間」
福岡市東区・千早の住宅街に、長く愛されてきた美容室がある。
名前は「ROBE HAIR」。
経営者は父、施術者は息子。
親子でつくるこの場所には、自然と地域の人が集まり、時間を重ねてきた。
今回の設計は、そんな場所の“これから”を考えるリニューアルだった。 「コロナ禍を経て、半個室のニーズに応えたい」
「でも、閉じた空間ではなく、広がりとやわらかさを保ちたい」
そして何より、「いずれは息子に継いでもらいたい」という静かな願いが背景にあった。
元の空間は、横並びに椅子が並ぶオープンレイアウト。
その一方で、待合スペースには雑貨が並び、社長のセンスがにじむ。
ただし、物が増えると「何屋かわからなくなる」危うさもあった。
そこでまず手をつけたのは、シームレスな収納と余白づくり。
雑貨やアイテムをクリエイティブに見せつつ、散らかって見えない仕掛けを用意した。
セット面は、床と天井を“通す”設計とし、空間の抜けを確保。
あえて壁をつくらず、格子のグリッドと大きなミラー、
そしてロールスクリーンで、空間を「開く/閉じる」が選べる設計にした。
天井はスケルトン。視線が奥へ抜け、広がりを感じる。
そして、この空間のハイライトともいえるのが、 受付ベンチ上に吊るされた大量のドライフラワー。
これは、福岡・浄水通の「malerisch(マーラリッシュ)」さんに協力を依頼し、 社長のセンスを“空間の花”として可視化したものだ。
エアコンの風にゆれるドライフラワーは、壁に影を映し出し、 まるで木漏れ日の中で過ごす昼下がりの公園のような、 柔らかい錯覚をつくり出してくれる。
今回のリニューアルで変わったのは、空間だけじゃない。
malerischのスタッフと社長が意気投合し、空間をきっかけに生まれた新たなご縁ができた。
“閉じるための半個室”ではなく、 人と人がつながるための半個室。 その設計思想が、ROBE HAIRの次の10年を支えていく。


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